バス停跡地物語〜前池町〜 
神戸市長田区の新長田駅から、板宿駅を経由し、妙法寺川沿いの狭い県道をくねくねしながら、神戸市須磨区北部に位置する妙法寺駅や若草町を結ぶ、神戸市バス5系統。管理人の地元を走るバス路線のひとつです。

新長田駅から板宿駅は、比較的市街地の幹線道路を走る都会的な路線なのに対し、板宿駅から妙法寺方面は片側1車線の県道神戸三木線を走り、周りは山に挟まれた区間。一気にローカルムードが漂います。それでも、沿線にはそれなりに住宅が点在しており、1時間に4本という比較的都市のバス路線の本数は確保されています。
 
そんな5系統のバス路線、板宿地区は今でこそ再開発により道路は整備されていますが、阪神大震災前、と言うより山陽電車板宿駅の地下化前、板宿駅北側は旧市街地に阻まれる形で、大型バスですら一方通行の複雑に入り組んだ狭い道の通行を余儀なくされていました。
 
余談であるが、山麓地域を走る11系統(板宿〜神戸駅・三宮方面(当時))に関しては、震災後の再開発までは板宿駅付近への乗り入れすら困難であり、駅から北へ徒歩5分の離れた場所からバスは発車していた有様でした(5系統でいうと、北隣のバス停(前池町)付近)。
 
経路変更により、バス停の位置も変更されました。バス停の移転は鉄道駅とは違い、跡地は綺麗に整備される事が殆どであります(百歩譲って、バス停車スペースが残るぐらいか?)
 
そんな中、管理人の地元 板宿北部に位置する前池町バス停跡(板宿・新長田駅方面)、現在ではとても考えられない場所に存在し、今でも面影を残しています。
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妙法寺川の東側を走っていた県道は、途中から南行き一方通行となっていたのだが、バスはその県道から妙法寺川西側へ渡り、しばらくは川の西側沿いを走っていた。そこは車1車線分の幅しかない狭さで、歩道も、西側(進行方向右側)にガードレールで仕切られたわずかなスペースのみ。そんな途中にある前池町バス停。
 
わずかな歩道とは反対側の、向かって左側。しかも川の上に鉄板敷きのスペースにて客扱いをしていたのであった。
 
鉄道とは違い、バスの出入口は左側のみ。そんな事情は致し方ないとは言え、かなり危険な場所にバス停があったもんだ。
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写真ではわかりづらいが、川の側壁にて鉄骨で補強はされている。しかしながら、いつ崩れ落ちてもおかしくない。
 
下写真の歩道橋、こちらは昭和60年代に設置されている。バス利用者は川の東側から行き来できるようにはなっている。しかしながら、バス停設置当初はこの歩道は無く、バスを降りると例の一方通行道路を車に気を付けながらガードレールに仕切られた狭い歩道へ渡る必要があった。ちなみに、横断歩道も存在していない。
 
ちなみに、前池町バス停の妙法寺方面のりばは、さらに東側の北行き一方通行に位置し、上下別ルートであった。バス停に関しては危険度は低いものの、そちらも今となってはかなり狭い、奇妙な場所に位置していた。
 
山陽板宿駅が平成7年に地下化され、周辺の道路が整備された事により、バスのルートは妙法寺川東側の2車線道路経由となり、前池町バス停もダイエー近くに集約される事となり、この危険なバス停はお役御免。しかしながら、この鉄板敷きのスペースは撤去されず、現在も残る。
 
以上の写真は、平成19年2月に取材・撮影したものだが、このスペースに違法駐車をされるケースが多くなり、後に駐車できないようポールが建てられている。
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写真は、平成24年6月23日に取材・撮影。前回取材の5年後の姿。ポールが建てられたのと、ダイエーのマークが変わった以外は、ほぼ昔の風景を保っています。
 
 
以上、バス停跡地物語でした。