山陽電車270系
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TOP画像:279号(撮影 昭和60年10月2日)
釣り掛け音を響かせながら、板宿〜西代間を走行中の高速神戸行き普通 279号含む3連。
どんな車輌か
 昭和34年、小型車の車体更新を目的に、250形の増備として登場。100系の足回りを使用しているのは250系と同じながら、車体は2000系に準じた物となった他、山陽電車では初めての正面幌貫通型である。釣り掛け式ながら2000系に混じって特急運用にも使用される事もあった。昭和61年の5000系大量増備により、全車廃車された。
 
連結自由自在…
 前述した通りの山陽電車で初の幌連結対応の貫通構造。2連を基本としながらも、将来の乗客増加に備えて臨機応変に増結を可能とした考えは、編成美を優先に考えて固定編成を前提とした2000系とは対照的である。実際に連結したのは3連までであるが、2連の基本編成の姫路側、神戸側どちらでも1両を増結する姿は当時の私鉄でよく見られたとは言え、国鉄の気動車を彷彿させる物となった。同系列以外にも、250系、820系・850系の増結にも使用された。5000系増備による引退イベントにて、5連で走る姿も見られた。
 
シリーズ唯一の…
 281号は試験的に電機子チョッパ制御器が搭載されていた。同系列ではもちろん、釣り掛け式車両としても唯一で、山陽電車の車両至上でも唯一の存在となっている。結局はこの1両のみで、他の形式に広まる事は無かった。
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1次車(270〜273)
 パンタグラフを運転室側に設置(いわゆる前面パンタ)、そして扉幅が2000系と同一寸法なのが特徴。2連2本が製造され、2次車以降の車両を1両増結して3連で使用されていたが、272-273については正面方向幕未設置のまま3050系に置き換えられて早々に廃車。270-271については正面方向幕は設置されたものの、晩年は3619と共に予備車として待機させている状態であった。3100Fに置き換えられて廃車。
 
272-273
 
2次車(274〜283)、3次車(284〜289)
 集電装置の容量増加によりパンタグラフへの高圧引き通し線が太くなった事から、美観を損ねない様にパンタグラフを連結面寄りに移設した他、ラッシュ対策により客用扉を拡大、これにより窓配置が変更しているのが特徴。外観的には2次車と3次車の違いは無く、まとめて「2次車以降」と扱う事が多い。同系列で一番多く在籍し、一部の編成はバラされて270系の他、250系や820・850系と併結されて使用していた。こちらのグループは山陽最後の釣り掛け車として5000系登場まで使用され続けた。
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