山陽電車3050系
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TOP画像:3074F(撮影 平成15年10月27日)
 山陽明石駅に停車中のアルミカー3050系の末期モデル。登場後20年以上が経過しているが、外観の美しさは失われていない。
どんな車輌か
 昭和47年、3000系量産冷房車として登場。性能的には3000系と同一としながら、途中の増備分からコンプレッサの変更、空気ブレーキの仕様変更、電源のSIV化、側面方向幕を17コマから40コマへの変更というマイナーチェンジが施されている。昭和56年の3066Fより、アルミ車体を再び採用(但し、3638が鋼体の為、鋼体用に合わせて塗装されている。)、3068F以降はアルミ車統一編成が登場し、銀車体の山陽電車として今日に引き継がれている。3074F、3076F、3078Fは5000系のシート改造により捻出した固定クロスシートを装備、正面の方向幕を自動化、一時期は3+3の6連で使用されていた事もあった。現在は4連の普通車、S特急の運用が中心で、特急の運用はなくなった。
 
冷房装置
 集約分散式冷房機を採用。天井に冷房機を4機搭載、車内にて天井にダクトを通し、ダクト内で一旦集約された後に各吹き出し口(スポット式)から冷気を放出する方式。天井は平天井となり、すっきりしている。パンタグラフ付中間電動車にも分散冷房機を4機搭載するにあたり、パンタグラフ設置面積が制限される事から、下枠交差式パンタグラフを採用。改造冷房車の3000系との識別点となっている。
 
3000系付随車との混結
 3058Fまでは特急運用向けに直接4連で製造されていたが、3060F以降は置き換え対象が普通運用の旧型車となり、3連にて製造。しかしながら新型であり冷房搭載となると特急として優先的に使用したいという考えがあり、結果的には3000系付随車を冷房取付の上で3050系に組み込んで4連化するという編成がいくつか存在する。鋼製車については外観的にはパッと見では違和感を感じないが、空気ブレーキの音、内装等で区別はつく。一方、アルミ車両も最終製造分は3連で製造→3000系1次車の付随車を組み込んで使用されるが、こちらは窓配列や帯形状の違い、そして何より無塗装ゆえ経年劣化の差が著しい為に(特に最新+最古の組み合わせ)かなりの凸凹編成ぶりを発揮している。
 
方向幕
 初期製造分は引き続き3000系と同様の17コマ電動方向幕を使用していたが、昭和50年代より40コマ用指令器を採用。特急から普通まで様々な行先に対応する様になった。しかしながら、指令器自体の相互交換が容易な為か、後期に製造された物で17コマだったり(逆に3000系で40コマだったり…)、混在している状況である。正面方向幕は相変わらずの手動式であったが、3050系アルミカーの3+3併結運用の編成については側面方向幕との連動による電動幕に改造されている(側面幕と同内容とする為に、種別幕についても行先毎にコマ数が必要な上、側面幕に無い行先だと正面でも表示不可能となり、臨機応変な行先表示ができない(例 S特急運用は正面にのみ行先表示、側面は「S特急」のみ表示するが、それが不可能)な為、他編成に普及せず)。後述のリニューアル時には新型指令器により正面方向幕を電動化している(こちらは指令器が種別と行先を個別に指定。正面幕と側面幕は別動作にて回転。側面で行先が無い組み合わせの場合は種別のみを表示できるシステム)
 
塗装アルミカー
 山陽電車でアルミ車両(過去にはステンレス車両も…)を採用する理由は無塗装とする事で塗装コストを削減する為であるが、3066Fについては神戸方電動車ユニットのみアルミ車体で製造、姫路方先頭車は鋼製車体の為、アルミ車体も含めて塗装されている(もっとも、新工法アルミ車体の試作的意味合いもあった為)。当初は姫路方先頭車の他、付随車は3000系の3508を組み込んでいた為、アルミ2両鋼製2両であったが、後にアルミ車体の3538を製造、3508と差し替えを実施したが、この車両も鋼製車と同様の塗装を実施している。一方、同じアルミ+鋼製混結編成の3100Fについてはアルミ車体は無塗装、鋼製車体はアルミの銀色に近い灰色+赤帯塗装という逆パターンとなっている。
それ以外に、一時期3060Fと3062Fが一旦3連化した後、3000系1次車の付随車(アルミ車体)を組み込んで4連化。こちらも塗装の上で使用されていた時期があった(初期アルミカーの独特な外観の為、かなり違和感があった)。1次車の付随車は後に3000F、3002Fを4連化する為に再び無塗装化されている。
 
ドア開閉音
 3000系のドア開閉音(空気式の「プシュー」の部分)はかなり特徴的。3050系もほぼ同様であり、アルミ車体の3068Fまでは同様であったが、3070F以降は少し音が変わっている(少し柔らかい音?)。最終増備分の3076F、3078Fについては3070F以降の柔らかい音はなぜか採用されず、3000系などの音を少し静かにしたタイブの開閉音となっている。
黒Hゴム
 大半の車両が灰色のHゴムを採用する中、3060Fのみ黒Hゴムを採用。独特の顔つきとなっていた。理由は不明。踏切事故からの修復をきっかけに他と同じ灰色Hゴムに取り替えられたものの、一部に未だに黒Hゴムが残る。
 
3076F、3078Fのシート
 山陽電車3000系などのシートは以前、座面が低めでクッションは固めであった。緑モケットの劣化とも相まって、座り心地の悪さやボロさを際立たせていたものだが、3076Fと3078Fだけはなぜか極端に綺麗なモケットで座り心地も柔らかめであった。以降の5000系ロングシート部のモケットはまた素材が変わっており、3076F、3078Fは別格の存在であった。これらの編成は5000系より供出した固定式クロスシートに交換、豪華ロングシートは他編成に転用されて使用されていたが、一連のピンクのドット模様モケット化では全体的に柔らかい座り心地となった事から、豪華ロングシートもモケット交換時に同様の座り心地になり消滅したと思われる。
 
リニューアル
 3000系2次車、3次車、3200系等、3連を中心に行われているリニューアル工事、3050系についても3058Fに施工。こちらは初の4連での施工。内容は3000系リニューアルに加えて、電動発電機を大型MGからSIV(静止インバーター)への変更や、テールライトのLED化も実施(それまでのリニューアル車も追って改造されたものもある)。3050系としてのリニューアルは他に3056Fにも実施している。
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1次車(3050F〜3054F)
 昭和47年より投入。冷房搭載関連を除けばほぼ3000系を踏襲していると言える。尚、3000系3次車では中間付随車は元2000系の3550にて賄われた他、それ以前の編成でも後で4連化という手法である為、4連まとめて増備したのはこのグループが初かもしれない。
 
3050F
 
3052F
 
3054F
 
2次車(3056F〜3064F、3638)
 昭和48年より投入。台車の変更、空気圧縮機を旧来のC-1000 神戸寄り先頭車搭載から、大容量のHB-2000 両側先頭車にそれぞれ搭載する方式に変更、空気ブレーキの変更、ヘッドライトのケース小型化などが特徴。また、このグループより40コマ方向幕を搭載している(時期によって17コマ表示機に差し替えられる事もあり)。3060F以降は3連で製造、3000系付随車組み込みによる4連化という手法を取っている。3638は3066Fの姫路方制御車だが、3066-3067はアルミ車体にて製造、混結編成となっている。
  
3056F
 
3058F
 
3060F
 
3064F
 
3次車(3066-3067、3068F〜3078F)
 昭和56年、3066Fの神戸寄り電動車ユニットのみ新工法アルミ車体にて投入。試作的存在である為、姫路方制御車は鋼製車体にて製造、混結編成となりアルミ車体も含めて塗装されている。アルミ車体の採用は昭和43年に3000F・3002F向け中間付随車を製造して以来となる。3068Fより編成単位でのアルミ車体となり。晴れて銀の無塗装でのデビューとなり、以降5000系・5030系に至るまでアルミ車体+無塗装赤帯が山陽電車のトレンドとなる。内装は化粧板を用いず、FRP樹脂一体成型となり、クリーム色の明るく綺麗な内装となっている。側窓のユニット窓は外側からの取り付けとなっているのが鋼製車との大きな違いとなっている。グループ内でも製造時期で細かな差があり、3074F以降は電動発電機をMGからSIVに変更、派生車種の3100系よりコーポレートマーク制定(先代タイプ)により先頭車の客室扉と窓の間にマークを貼り付け(これは従来のアルミ車や塗装変更後の鋼製車にも普及)、3076Fと3078Fは先頭の貫通扉外側をステンレスからアルミに変更するなどの改良を重ねている。3074F〜3078Fについては後に付随車を除いてクロスシート化、3連運用時代に6連特急として使用された実績を持つ。
 
3070F
 
3072F
 
3074F
 
3076F
 
3078F
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