山陽電車5000系
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TOP画像:5000F(撮影 平成16年10月23日)
山陽明石駅で発車を待つ、普通 姫路行き。5000系の4連は2編成で今も残る。
どんな車輌か
 昭和61年、270形等の釣り掛け車を置き換える目的で登場。従来の3000系からデザインを一新した他、従来の抵抗制御に代わり、添加励磁制御を採用している。外観上では正面窓の大型化、種別/行先表示器を上部へ移動+電動化、車内は当初は固定式クロスシートを搭載し、登場後しばらくは3連で普通車運用中心だった。後に4連化の際に転換クロスシートが登場、特急運用にも使用される様になる。平成3年のダイヤ改正により、6両固定編成も登場。従来の3連&4連も次々に6連化され、2編成で残る4連を除いて6連の阪神梅田乗り入れの直通特急運用の看板車両となっている。一部の編成では固定クロスシートの転換シート化、側面行先表示器のLED化の改造も施されている。
 
クロスシート
 1次車、2次車は固定式クロスシートを採用。中央扉を境に相互離反配置されている。モケットは車両毎に色が異なっており、その色目から当初は「マロンシートカー」と呼ばれていた。3次車以降はワインレッドのチェック柄モケットを使用した転換式クロスシートとなり、従来の固定クロスシートのうち5014F〜5018Fについては転換式クロスシートに取替え(但し、仕切りの都合上一部は固定式をそのまま使用)を実施。その他編成については固定式クロスシートのままモケットのみ転換クロスシート用のチェック柄のものに張り替えを実施している。
 
方向幕
 正面方向幕については3000系の貫通扉設置から、当時の新型車両によく見られた前面窓上部へ移動。同時に自動化されている。側面方向幕は3000系に比べて横長化している。コマ数は50コマに増強。幕デザインは正面については「普通」と「行先」を黒幕化、側面は「普通」を黒幕化。又、誤乗防止の為に阪急=緑。阪神=青で表記された行先については種別色との間に白線を加えている。設置当初は英字なし、平成7年頃より順次英字入りに交換している。平成13年の5030中間車2両×4本を組み込みの際、うち3本を幕式方向幕とする為に5000Fと5010Fの方向幕をLED化、5030系中間車へ転用している。
 
貫通扉
 登場当初は正面貫通扉と渡り板は設置されていたものの、貫通幌は省略されていた。3000系以降は他編成との併結は見られず、固定編成で使用される事が多かった為であるが、平成3年の6連運転開始による増備にて、貫通幌を設置。うち2次車にも幌を追加取付し、3連で残った5014Fと5016Fは6両固定編成の検査時に2編成併結による6連運用で使用される姿も見られた。後にそれらは4連化されて併結運用は消滅(逆に3050系アルミカーにて3+3の併結運用を開始)。直通特急運用により正面貫通扉は非常用としての用途として使用されるようになり、渡り板を短いステップ状のものに取替えられる(同時に幌連結不可となる)。尚、幌枠設置車については撤去される事なくそのまま使用している。
 
パンタグラフ、冷房装置
 3050系が集約分散式冷房機4機搭載の為にスペースの都合上、下枠交差式パンタグラフを採用していたが、当形式についてはコストダウンの為に旧型車からの廃車発生品を使用。菱形パンタグラフである事から分散冷房機4機の設置は困難となり、パンタグラフ非搭載車両も含めて集中式の大型冷房機1機搭載としている(10500kcal×3機搭載によりパンタグラフ設置スペースを稼ぐ方法もあったと思うが…)。車内天井については平面天井で吹き出し口はラインフロー化(従来の吹き出し口がまばらに配置されたスポット式とは異なり、ダクト両側の2本の長い線状の吹き出し口より冷気を送る方式。他社に採用例の多い横流しファンは未設置)され、見た目はすっきりしている。以降の3000系冷房取付改造については5000系方式の集中式を採用している。5030系増備の際には再び下枠交差式パンタグラフの新品を設置、5000系についても従来のパンタグラフの劣化などにより、下枠交差式の新品に交換されたものも存在する。
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1次車(5000F〜5012F 基本3両ユニット)
 昭和61年、270系などの釣り掛け車一掃の為、3連7本を一気に投入。固定式クロスシートの採用により、普通運用のグレードアップを図っている。後に2次車以降の付随車を組み込んで4連化、特急運用にも使用され、さらに中間2両の電動車(5000系5200ユニットの他、5030系2両ユニットも含む)を組み込んで6連化された物もある。4連のまま残された5000F、5002Fは主に普通・S特急運用、それ以外の6連は主に直通特急運用に使用されるが、車検の都合で5000F、5002Fが一時的に6連化されて直通特急運用に用いられる場合もある。側面方向幕は5030中間車も含めて幕式が基本であるが、5000Fと5010Fは供給上の都合でLED化されている。
 
5000F
2次車(5014F〜5018F 5500〜5503)
 平成元年、2000系の置き換え用に3連3本が投入された他、1次車の4連化の為に中間付随車5500を2両投入。1次車との違いはシート背面を化粧版に変更(1次車はモケット張り)、先頭車のスカート形状変更、その他。尚、スカートについては後に3次車と同一形状に変更された他、基本編成のシートを転換クロスシートに取替え、余剰の固定クロスシートは3050系アルミカーに転用している。
6連運用開始後も5014Fと5016Fが3連で残り、普通運用に使用される他、3+3連の併結による6連運用で特急に使用される事もあった。その為、幌枠が取り付けられている。後述の4次車(付随車)増結により3連は消滅。さらに電動車2連ユニットを組み込み6連化されている。  
5014F
 
5016F
 
5018F
 
3次車(5020F〜5022F 5504〜5509 5200-5201〜5204-5205)
 平成3年、2000系の最終置き換えと6連運用の為の編成増強用に投入。これにより、5014Fと5016Fを残して4〜6両編成化、特急運用に就く事が多くなっている。このグループより転換クロスシートの採用、シートモケットをワインレッドのチェック柄に変更、前面帯をV字状のに変更、スカートが2次車よりもさらに開口部の大きいものに変更、ドアエンジンの変更(空気式→電子式)、台車の変更による乗り心地の改善…などの変更が特徴。5000系の基本ユニットとしてはこのグループが最終で、以降は中間車のみの製造が続く。
5020F
  
5022F
 
4次車(5510、5511)
 平成5年、5014Fと5016Fの4連化の為に付随車のみ投入。側窓の一部固定窓化(車端部はドア側、ドア間3連窓の外側2窓について、1枚物の固定窓化)された他、ロングシート部分を短縮の上、車椅子スペースを設置するという変更が特徴。
 
5次車(5206-5207〜5210-5211)
 平成7年、6両編成の増強の為に5200中間電動車2連ユニットを3編成投入。5012F、5014F、5016Fが6連化されている。側窓の形状を変更(ドア間3連窓のうち、中央窓が大型の1枚固定窓化、両端2窓は狭小の開閉可能2段窓へと変更。この変更によりシートピッチが一致し、展望面での改善を図る)、フリーストップカーテンの採用、優先座席部分のモケットを緑に変更…、の変更が特徴。これらの変更点は5030系にも受け継がれている。
 
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